健康投資で会社を活性化
従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践する「健康経営」。生産年齢人口の減少や高齢化、人手不足などの課題に直面する日本では、就労世代が「長く健康」に働き続けられる環境づくりが急務となっています。本対談では中高年人材の活躍を推進するパソナマスターズの代表取締役社長 中田光佐子と創業68年、金属加工を中心にものづくりを手がける梅田工業の梅田英鑑代表取締役社長が、いま健康経営に必要な視点を考えます。
―中田氏:梅田さんが社長になられてから約10年、健康経営に取り組むきっかけはどんな気づきがあったからなのでしょうか。
―梅田氏:当社は1957年の設立以来、半導体製造装置や精密板金加工などを手掛けてきました。先代から事業を引き継ぎ、職場環境を改めて見つめたときに職場の活気や笑顔が少ないのではないかと感じました。とてもシンプルなことですが、社員が健康で幸せに笑顔で働けることこそが、事業の活性化、そしてお客さまの信頼を守るために大切だと気づき、健康経営の取り組みを始めることにしました。
―梅田氏:当社の健康経営は①ヘルスリテラシーの向上、②適切な働き方実現に向けた取り組みという2つの視点に注目しています。①では全社アンケートの結果から喫煙、食事の改善、運動習慣など、社員がいま取り組みたい健康に関する課題を見つけることができました。②ではIT導入や残業時間の削減など働きやすい環境づくりを実施しています。
このように健康経営を推進していくと、病気やけがまではいかないけれど、ちょっとした身体の不調をケアできる施策こそが必要なのではないかと考えるようになりました。現場の声をヒアリングしていくと、工場勤務の人たちの肉体労働の負担はもちろん、デスクワークの社員も長時間の座り姿勢による腰痛などに悩んでいることもわかりました。
―中田氏:不調を取り除く大切さは私も同感です。先日「プレゼンティーズム」という言葉を知りました。頭痛や腰痛といった何となく身体の様子がおかしいまま出勤してしまい、仕事のパフォーマンスがうまくあがらない状態を指すそうです。一見ありがちでささいなように思われますが、実は会社にとって大きな損失になっているのではないでしょうか。ひと昔前だと気合で乗りきらなければいけない風潮もあったかもしれませんが、従業員が一番良い状態でパフォーマンスができる環境を会社が責任をもってつくることも重要ですよね。
―中田氏:私も「笑顔」というキーワードを掲げられている点はとても共感できました。健康に働くための土台として大切なことだと思います。
―梅田:祖父が創業者になるのですが、私自身も幼いころから工場に遊びに行けば当時の社員の皆さんに遊んでもらい、明るい職場だという記憶がありました。しかし自分が経営に携わるとなったときに「あれ、こんなに暗かったかな」と感じてしまいました。歴史ある会社をさらに発展させるためにも、笑顔で働ける会社にしたいと考えました。
―中田氏:梅田工業さんでは今回、ウェルボディ社が提供する腰痛リスク可視化プログラムの「Offi-Stretch® Survey」を導入されたということですが、どういう背景があったのですか。
―梅田氏:前述したように、病気やケガまではいかない身体の不調を改善する方法を検討していたときにお話しを伺いました。例えば温泉に行ってリラックスするなど療養する時間が取れればいいのですが、多忙な社員も多く自身のケアはどうしても後回しになってしまいます。「Offi-Stretch® Survey」なら理学療法士の方が会社に訪問してくれるので、就業時間内に実施することができる点に惹かれましたね。前屈や体幹テストなど簡単な運動から個々の腰痛リスクをチェックしてもらい、仕事の合間にできるセルフストレッチなどの運動指導も受けることができました。社員のプライベートの時間を削ることなく、重症化のリスクも事前に取り除けるので、まさに探していた施策にぴったりでした。
―中田氏:社員の方の反響はいかがですか。
―梅田氏:全てをキャッチアップはできていませんが、満足してもらえていると思います。私自身もプログラムを体験して効果を実感したうえで導入しているので、皆が喜んでいる感じは見て取れますね。
―中田氏:梅田工業の社員の皆さんのように繊細な作業など集中力が必要になってくるお仕事の時間の中に、身体を動かすリフレッシュの時間があるのはとても効果的かもしれませんね。プログラムを受けている中で、社員同士で「私はここのスコアが気になる」などコミュニケーションにもつながったり、習得したセルフケアを家庭に持ち帰ったりと健康のことを考える時間が共有できる点も良いですよね。
―梅田氏:健康経営を考えるとき、経営者は一緒に取り組む姿勢を見せることが大切だと思います。「健康経営」という言葉だけ振りかざしても、じゃあ社長自身は何をしているのと指摘されてしまいます。「Offi-Stretch® Survey」にしてもまずは自分が受けてみて、説明や共有をできる状態で導入すると社員とのコミュニケーションの幅も広がります。施策の満足度調査の結果をデータ的にとらえるだけではなく、社員の視点になって良いものかどうか判断することで会社にとって有益なものかを判断することができると考えています。
―中田氏:一方で健康経営の話題になったときに、費用対効果を懸念される経営者の方も多いと思います。施策を取り入れたときにすぐに売上につながるかといったらそうではないことも多いかもしれません。ただし、経営者として忘れてはいけないのは、社員やメンバーの働きが最終的な会社の売上やお客さまからのリターンにつながっているということです。つまりは社員の具合が悪く不調が続くことのほうが企業の成長を妨げてしまう。コスト意識を持つならば、なおさらこの視点で考えなければいけないと感じています。
健康施策に関しても、社員がすぐに満足してくれなかったとしてもまずは導入することに意味があると思います。「Offi-Stretch® Survey」を取り入れなければ社員が腰痛リスクを考える機会を失い、将来的に大きな損失につながってしまうかもしれません。アスリートがプロとして活躍を続けるためのメンテナンスが必須なのと同様に、サラリーマンも働くプロとしてパフォーマンスを維持し続けるために健康経営はとても重要です。そのために企業はさまざまな施策を提供する機会を設ける必要があるのではないでしょうか。
※当社では、Well Body株式会社が提供する「Offi-Stretch® Survey」を、「マスターズ・ウェルビープラス」として取り扱っております。